セントポーリア花色の多様化機構の解明 

鉢花であるセントポーリアは花色や模様が多様であり、大変面白い花卉です。生かすだけなら栽培には手間は要りませんが、きれいに咲かそうと思うと手間暇が必要です。また、組織培養や葉ざしによって簡単に芽が発生することから分化全能性のモデル植物としても有用です。セントポーリアを組織培養すると様々な突然変異体が発生します。これらを解析することによって模様や花色に関わる遺伝子が特定できる方法があります。本研究では自分で変異体を探し出し、新しい遺伝子を見つけ出します。セントポーリアの全ゲノム解析(かずさDNA研究所との共同研究)と変異体の遺伝子網羅的解析を通じて、模様遺伝子の特定を目指しています。


乾膜質花の細胞壁合成機構の解明

細胞壁には一次壁と二次壁が存在します。一般的に二次壁は道管など固さが必要な細胞で後天的に形成されます。一般には花弁など花器官の柔細胞では二次細胞壁は形成されません。ところが乾燥地域の一部の花卉では花器官の細胞で二次細胞壁が作られることが分かりました。このような花は非常に花の観賞期間が長く、園芸的に重要です。もし、この細胞壁形成のメカニズムを解明することができれば、バラやカーネーションなどの超長寿命花卉の育成も夢ではありません。本研究は京都大学の森林科学系の研究室と共同で行ってきたものです。

 

 


非開花性葉ボタンの育成と非開花メカニズムの解明

京都大学の矢澤名誉教授が40年前に発見した非開花性キャベツを譲り受け約30年間維持してきました。この非開花性キャベツはエピジェネティックな非開花性であり、特殊な方法を用いると種子の生産も可能です。このキャベツと葉ボタンを交雑して非開花性葉ボタンを作出します。非開花性を利用することで、抽苔を気にせず葉ボタンを栽培することが可能となります。本研究では、葉ボタンの非開花性のメカニズムについても、遺伝子レベルでの調査を行います。本研究は京都大学との共同研究で行っています。

 

 


植物で合成される特殊色素の合成経路の全貌解明

我々はダイコンに新しい色素が蓄積することを発見しました。この色素は、いまだほとんど解明されていない色素であり、非常に興味深いものです。植物が持つ一般的色素であるアントシアニンやベタレインといった色素とのかかわりの中で、新しい発見につながるものと考えています。本研究は中国の大学との共同研究です。

 

 

 

 

 

 


植物の葉に含まれる強力なRNaseの同定とその役割解明

私たちは、トウガラシの一部の品種には葉に強力なRNaseが含まれることを発見しました。なぜこの植物がこのような強力な酵素を含んでいるのでしょうか?大変に不思議です。まずはこの酵素を特定し、細胞のどこに存在しているのかを明らかにします。さらには、この遺伝子をノックアウトした場合、あるいは別の植物で過剰発現させた場合、どのような形質が出るのでしょう。これを明らかにすることで、この未知なる酵素の生物的役割について明らかにします。この研究は、京都大学とかずさDNA研究所とともにおこなっています。

 

 

 

 

 


細胞質が関わる植物の交雑不和合性の原因遺伝子の特定

私たちは、トウガラシの種間交雑不和合性に2つの遺伝子が関わっている、いわゆるエピスタシスが関与することを明らかにしてきました。興味深いことにこのエピスタシスには細胞質が関わっている可能性が高いのです。この細胞質関与のメカニズムを明らかにすることで、種間交雑を可能にする交雑方法が開発できるかもしれません。ここでは細胞質側遺伝子の特定を目指します。本研究はかずさDNA研究所と京都大学との共同研究です。