繊維培地の利用による新規栽培技術の開発  

廃棄される洋服などを再利用したポリエステル培地は養分元素の吸着がほとんどなく、ロックウールと同様、養液栽培の支持培地として用いることができます。ロックウールと異なり再利用が容易であり産業的に用いやすい培地です。ポリエステルの培地としての化学的特性、物理的特性等を把握し、植物の根の伸長等を解析することで、ポリエステル培地を改善し“近大農法”の開発を目指します。本研究は近畿大学植物・人間関係学研究室との共同研究です。


エディブルフラワーとしてのバラ無農薬生産技術の開発       

観賞用に用いるバラを無農薬で栽培することができれば、付加価値の高いエディブルフラワーができます。バラにはハダニ、ウドンコ病、灰色カビ病などが発生し、いずれも防除が難しいため農薬の多散布が必須な品目の一つです。これまでバラの無農薬栽培は試みがほとんどありませんが、これまでに研究されてきた種々の方法を統合することで、無農薬栽培は不可能ではないと考えています。2018年に栽培が開始されます。ぜひともチャレンジしてみて下さい。また、私たちもプロジェクトに加わって研究を行ってきた新規栽培法で収穫したバラの花のアントシアニン組成・含量や香りには変化が生まれると期待しています。環境負荷が小さく、人への負荷も少ない農業をバラのエディブルフラワーで実現します。本研究は植物・人間関係学との共同研究です。


茎頂分裂組織への遺伝子導入技術の開発

CRISPR/Cas9をはじめ、新しい遺伝子組み換え技術が次々に生まれています。有用な遺伝子が特定され、遺伝子組み換えでしかできない作物が期待されています。一方で、目的に作物に遺伝子を入れるのは難しく、全ての品種に適用できるわけではありません。よって、園芸学の研究者が確立しなければならない技術は全ての園芸作物に遺伝子を導入する技術です。私たちは茎頂分裂組織の微細手術によって茎頂分裂組織の細胞に直接組み換える技術を開発しています。例えば、バラの香りを変えようと思っても、遺伝子の組換え技術の開発から始める必要があります。もし私たちが、全ての植物に使うことができる新しい方法を開発すれば、様々な研究者が活用できる技術を提供できるでしょう。


微量元素の供給量の制御による低カリウム作物の食味の向上技術の開発

低カリウム野菜は食味や糖度が大きく変わり、味は良いとは言えません。ところが微量元素の含量を変えることで、香気成分等が大きく変わり、低カリウム野菜の品質を大きく変えることができることを見出しました。そこで、ポリエステル培地を用いた低カリウム野菜の高品質化技術を開発しています。本研究は植物・人間関係学研究室と共同で行います。


超微小茎頂分裂組織培養苗(完全フリー苗)を用いた地域活性化

私たちが開発した技術(超微小茎頂分裂組織培養法とMT-direct RT-PCR法)で完全ウイルスフリー苗を作出した作物生産技術を耕作放棄地に利用し、地域活性化を行います。自治体が求める声をよく聞き、アイデアを提供し、自治体とともに6次産業化を目指します。研究としては収量調査などから連作障害を数値化し、さらには土壌のメタゲノム解析等の手法を併せて論文執筆につなげます。